九月
心頭滅却

此処なるお寺は裏手、 見渡す許りの燃え上がるかの如き紅蓮の絨毯を成すは秋の彼岸の曼珠沙華、 此処が近道と思いしか、渡るはうさ犬お兄ちゃんほんまるなるを、 目の前の邪魔な虫を一叩きしたか如何か、両の掌を合わせて幸せとやら、…
菊酒

本日重陽の節句は目出度き九の数が重なる更に目出度い日にて、 菊酒振舞うべき日なりとて聞いたうさ犬兄弟の、 ならばと幾本かの一升瓶と共に用意したのは如雨露とは、 見れば酒は如雨露をなみなみ満たし、傾け注いだる先は菊の花、 …
スタンバイ

二百十日、二百二十日と来れば出番の風神様の、 佩する袋を小脇に抱え、いざや吾の役目を為さん哉とて 雲上身構え袋の口の先見定めるに、雲の下からふわふわと 迫り上がり出でたのはうさ犬兄弟、 お兄ちゃんのほんまるが両手を掲げた…
毬栗

うさ犬お兄ちゃんほんまるが触れれば痛い毬々を 二つに裂けば其の中から頭を出したのは何時か見たあの美味しい栗の実に他ならず、 斯く美味の詰まると知ったる食いしん坊のはなまるの、 周りを必死で見回すに、折しも目に入る巨大な毬…
動物愛護二態

動物愛護週間とて耳にせば身近で見かける動物とて 犬とてコトラのお頭をなでなで、 パンダとてウパンダの頭をなでなでと、 熱心に動物愛でる当のほんまる、はなまる兄弟揃っての君達うさ犬は 愛護を受ける身にやらん、 コトラもウパ…
ベンチ

敬老の日の公民館のイベントか、将又頃日知り合いしあのお爺ちゃんの元か、 いそいそとお出掛け支度も整えたお婆ちゃんが、 一寸早めのバス停に着いて見れば憐れ用意のベンチは真っ二つにて、 杖突きたるも腰掛けるに若くは無けれども…
中秋の名月

本日中秋の名月とて、空にぽっかり浮かんだ真ん丸お月様、 お月見と洒落込むうさ犬お兄ちゃんほんまるの、 ピラミッドが如く積んだお団子及びススキがお供物と共にゆらゆらと、 備えるは瘤の上、構えるは背の上、歩く駱駝は砂の上、 …
菊人形

澄み切った秋の空を空中散歩宜しく上手から登場、うさ犬お兄ちゃんはほんまるに、 下手から登場、烏君の、食欲の秋とて下界に秋刀魚焼く匂いにか、 夏も暑さ、残暑も一段落の清々しい森の匂いにか、 それとも気になるあの娘の嗅ぐも清…
おねだり

向こうに見えるはうさ犬お兄ちゃん即ち僕のお兄ちゃんほんまるの、 何やらほんのり頬を膨らませ、口元の微動せるはもぐもぐと、 目が良いのか鼻が良いのか、見つけたはうさ犬弟がはなまるの、 これはおやつに外ならじとて一目散に駆け…