水芸

艶っぽく結った日本髪に裃の妙齢の女性の演じる水芸も乙なものですが、
なかなか如何して、うさ犬お兄ちゃんのほんまる演ず水芸も引けを取らぬと評判も、
目撃者の証言に拠れば、その芸事の出来するは夏の盛りの日のホンの一瞬にて、
余程の幸運、巡り合わせが無い限り目には出来ないとの噂、
斯くなる処、当頁をお開き頂いた貴殿は 盲亀の浮木優曇華の花待ち得たる今日只今とて、
眼前に折しも展開せるが彼のほんまる水芸の一幕、
蝉時雨喧しいうさ犬ランドは裏山の雑木林の中で、
緑濃き桜の樹より一匹の蝉の蜜の乾いたこの樹に最早用無しとて、
飛び立ち態にひり出したおしっこがほんまるの頭上目掛けて放物線を描くや、
ご自慢のうさ耳震わせ再度空中に放擲せること二度、
見事蝉のおしっこは襷掛け日本一の扇子を手にしたほんまるに操られ、
幾つか美しい弧を空に描き出したのでした。(2006/6/20)